2019年8月15日 更新

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【憑いてる専門学校生・内藤駆の夜泣怪談】連載企画 第1回

8/29発売「恐怖箱 夜泣怪談」内藤駆(竹書房文庫)

 

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【憑いてる専門学校生・内藤駆の夜泣怪談】

連載企画 第1回

■連載第1回「赤マント」

 

 林さんが二十年近く前に亡くなった祖父、太蔵さんから聞いた話。

 戦前、太蔵さんがまだ若かった頃のある夜、彼は村のお偉いさんに頼まれて、至急、重要な手紙を隣村まで届けることになった。
 隣村までは、危険な夜の山道を越えていかねばならない。
 しかし、太蔵さんは過去に何度も夜の山越えをこなしていた。
 十分な準備をすると、すぐに自分の村を出て隣村へと向かった。
 松明で辺りを照らしながら、しばらく暗い山道を進む。
 すると、太蔵さんの目の前に突然、見知らぬ集落が現れた。
 集落内の家々は全て、出入り口の横に松明を灯していたので辺りは明るかった。
 更にどの家も、松明の横に赤いマントを吊していた。

(道に迷って知らない集落に着いてしまったか? それにしても、全ての家が赤マントを吊しているとは奇妙な風習もあるものだ……)

 太蔵さんは訝しんだものの、とりあえずここはどの辺りなのか聞くため、夜間に無礼を覚悟で近くの家で戸を叩いた。
 しかし幾ら叩いても返答はなく、かわりにブーンという耳障りな音が家の中から聞こえてくる。
 太蔵さんは他の何軒かの家も叩いて呼んでみたが、いずれも人の返答はなく、やはり家の中からブーンという音が響いてくるのみだった。

「困ったものだ、一体この集落はどうなっているんだ?」

 太蔵さんが頭を捻っていると、集落の真ん中にある広場に、人のような物が倒れているのが見えた。
 慌てて駆け寄ってみれば、それは上半身を赤マントで覆い、下半身は両足を大きく開いた男だった。
 そのマントの中からも、ブーンという不快な音が聞こえる。
 また赤マント。それにこの音……まるで蜂の羽音のようだ。

「……あんた大丈夫か?」

 そう言って太蔵さんは男に掛かっているマントを取った。
 マントの下には何もない。
 周りの家々から、困惑する太蔵さんを馬鹿にするかのように笑い声が響いてきた。

 ブオォン!!

 突如、大きな音とともに、太蔵さんの前に何かが降りてきた。
 真っ赤な鳥。
 だが、その頭は妖艶な美女だった。
 麗しい瞳と濃い朱色の唇は、太蔵さんを一瞬で魅了した。
 気が付くと太蔵さんは赤マントを握りしめたまま、明け方の山道で立ち尽くしていた。
 目的の村はすぐそこだった。

「本当に、いい女だった……」

 謎の鳥女に魅せられた太蔵さんは、その後もあの時の赤マントを後生大事に持ち続けたという。
 林さんは太蔵さんが亡くなったとき、お棺にマントを入れてあげた。

 

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8/29発売「恐怖箱 夜泣怪談」内藤駆(竹書房文庫)



摩訶不思議な現実。奇想天外な恐怖。
とにかく憑いてる専門学校生が綴る、前代未聞の実話怪談!!

◎内容紹介

実話怪談マニアでも類話を聞いたことがない、一風変わった話ばかりを集めてくる専門学校生・内藤駆の初単著。自殺しようと立ち入りを禁じられた高校の屋上に出た男子生徒。そこには太刀が祀られた謎のお社が…「神社」、寺の本堂に飾られた銀糸の登り竜の垂れ幕に残る傷。住職が語るその恐ろしき謂われとは…「キミ子姉ちゃん」、家の玄関で死んでいた蝶のサナギを埋葬した女子高生。その夜、乳首から不思議な液体が滲み出す…「アゲハ」、金に行き詰まって失踪した甥が突然家に現れた。だがその姿は四つん這いの獣のような風体で…「狩猟」他、奇想天外な25話!

●著者プロフィール
内藤 駆(ないとう・かける)
ホラー映画、ホラーゲーム、怖い話(実話、創作共に)、怖い絵と夜のランニングが好きな専門学校生。怪に憑かれているのか、摩訶不思議な現実に高確率で遭遇する。共著に『現代怪談 地獄めぐり』『恐怖箱 怪画』『恐怖箱 屍役所』がある。

 

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-次回もお楽しみに!!-

 

 

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