2019年10月15日 更新

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夏の怪談コンテスト応募作品NO43_首の折れた花

ぱどにゃんこ夏のキャンペーン 最恐「実話怪談コンテスト」応募作品を一挙ご紹介!

 

投稿者:そらいろ

首の折れた花

私が小学校低学年の頃のお話です。

「花の首が折れている」と母が不安気に呟きました。

庭で育てていた花が何者かによって折られているというのです。
暑い季節に耐えられず花が萎れていると思っていたそうですが、どうも萎れた感じはなく、野良猫が荒した様子もないと気付き怖くなったのだそうです。

その後もしばらく花を育てていましたが、やはり咲いた花が時々人の力で折られたように首を垂れるので、気持ち悪くなり育てるのをやめてしまいました。
どこかの誰かが悪戯目的で庭に入り込んでいる可能性があり、いい気持ちはしませんでした。



花を育てなくなってからは何も起こることなく年を越し、春を迎えました。
私たちは昨年に起こったことはすっかり忘れ春迎の準備をしていました。

雛人形を飾ろうと、50センチくらいの木箱の蓋を開けた時です。


私も母も「あ、これか」と昨年の出来事が頭の中で繋がりました。
そこには首を抜かれたお雛様が窮屈そうに詰め込まれていました。



そのお雛様は母が実父から譲り受けたもので、母の実家にずっと置いてあったものです。

母の両親は母が幼い頃に離婚しており、長い間再会はしていなかったのですが、実父が亡くなる前に再会し、この雛人形を受け取ったのです。



素人の手作り風の人形は雛人形というより日本人形という表現がしっくりくるのですが、誰が作ったのかその経緯は分かりません。

髪は結っておらず肩までの流し髪、着ているお洋服も朱色の布を着物の形に縫い合わせたようなチープなつくり。

あまり可愛い人形ではなかったので、私は気に入っていませんでした。
ですが、母にとっては大切なものであったようです。


そんな母の思いも知らぬ私は、昨年にそれを仕舞う際、綺麗に箱に収まりきらなかったので、面倒になり首を取り外した状態で無理やり仕舞い込んだのです。

箱を開けた時、ちょうど首がぽっきりと折れたような形で雛人形の顔がこちらを向いていました。



花柄の着物を着たその雛人形を見た時に、私も母もこれが原因だとすぐに理解しました。

その年にお寺で供養してもらい、人形を手放しました。
それ以来、おかしなことは起きていません。



結局あれが何だったのか未だに謎ですが、雛人形を作った方、もしくは祖父を怒らせてしまったのではないかという気がしています。

今でも母は庭で花を育てるのを楽しんでいます。




追記**結局、雛人形と花の事件に繋がりがあったのか今では分りませんが自分の中で怖いと思っていたお話です。この時人形を粗末に扱った呪いなのか、私が未だに独身でいるのが我が家では一番のホラーであり笑い話です。

 

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