投稿者:こやまのすけ
襖の奥
私の実家は北海道の片田舎にあるお寺である。
お寺に住んでいたので、毎日いろんな来客者がいた。その中でもごくたまに、奇妙な相談をしてくる人がいるのである。これはそんな私のお寺に相談しにきた人が実際に語った実話である。
ある小学5年生の男の子の話。
彼はある日から毎晩同じ夢を見るようになった。
その夢の場所はその子の部屋。現実と同じでベッドの上で寝ている。
体を倒して押入れに目をやると、半分開いた襖の奥に、正座をした白装束の女が座っているという。
恐怖で身動きが取れなくなった彼は、毎回震えながら目を覚ます。
夢から覚めた彼が押入れに目をやると、当然そこに女はいない。しかし毎回閉めて寝たはずの襖が半分開いてるという。
その夢が5日ほど続き、恐怖に耐え切れなくなった彼は、母親と一緒に私のお寺にお参りをしに来た。
するとその晩、彼が見た夢は同じだったが、半分開いた襖の奥に女の姿はなかった。それからというもの、彼は元気を取り戻し学校に通っているという。
しかしひとつだけ、母親は彼に黙っていることがある。
それはその女を夢で見なくなってからのこと。
母親がシーツを洗おうと彼の布団を剥いだとき、
枕下から大量の長い髪が出てきたのである。
女が彼と一緒にベッドで寝ているかもしれない。そんなこと、怖くて口が裂けても彼には言えなかったという。
そんな話を実際に聞いた私の背筋は凍りついた。
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