2019年10月15日 更新

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夏の怪談コンテスト応募作品NO38_行きたくない京町家

ぱどにゃんこ夏のキャンペーン 最恐「実話怪談コンテスト」応募作品を一挙ご紹介!

 

投稿者:クレイドール

行きたくない京町家

私が幼い頃、親戚の家に行くのがとても怖かった。

その家は京町家と言えば聞こえはいいかもしれないが、冷たい空気が流れた酷く雰囲気の暗い家だった。
母に連れられ、その家に着いた途端、叔父と叔母が母と私を睨み付け、

一体何しに来たんだと冷たく言い放つ。

元は母の実家でもあったので、母も負けじと帰って来て何が悪いと言い返す。
時には母が包丁を振りかざし、殺してやると叔母を追いかけ回したこともあった。
まだ小さかった私にとって、大人の争いは堪らなく恐ろしく、数十年経った今でもトラウマになっている。


一度こんな夢を見たことがあった。


二畳ばかりの玄関の土間の中央に乳母車が置いてあり、私はその中を覗き込んだ。赤ん坊が起きていた。
しかしその赤ん坊の首から上が無い。首は既に切断されており、その首の無い身体の切断面から血の泡が吹き出していた。赤ん坊は私の方を向きながらまるで何かを訴えているようだった。


後年、親戚の家が処刑場の跡地だと知った。


江戸時代の終わりの頃まで家の近くの橋が地元の人たちから『地獄橋』と呼ばれていたと知ったとき、なんとなく腑に落ちた感じがした。

 

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