2019年10月15日 更新

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夏の怪談コンテスト応募作品NO31_放送室の怪

ぱどにゃんこ夏のキャンペーン 最恐「実話怪談コンテスト」応募作品を一挙ご紹介!

 

投稿者:たこちゃん

放送室の怪

これは一九八十(昭和五十五)年ごろ、高校の女子生徒から聞いた話で、どこかの雑誌に掲載されたか、人づてかは、今となってはわからない。

ある高校の話である。場所は放送室。時は夏休み前。Sは放送部員の三年生。終業式が終わって、明日から夏休みである。
 
放送部員は放送室に集まって、おもいおもいに過ごしていた。

Sは最近ある音楽に夢中になっている。何回もレコード盤を掛けて繰り返し聴くのだった。
夢中になって聴いているうち、部員はひとりひとり去っていった。

そしてとうとうひとりきりになった。

学校からも生徒はいなくなったのにSは時間を忘れて曲を聴いていた、Sは灯かりをつけるのも忘れて曲を聴いていた。
宿直の先生が最後の見回りをしていた。そして放送室の鍵が開いたままなのに気がついた。

「ははん、鍵をかけるのを忘れたな」

ドアを少し開けてのぞいたが、暗いので誰もいない。外から鍵を閉めた。

それでもSは気がつかない。Sが時計を見て、ようやく帰ろうとしたら、鍵がかかっている。閉じ込められた……。


二学期の始業式。朝からキャプテンA が放送部の鍵を開けた。

「ぎゃー」と叫んだ。

部屋の向こうから誰かが倒れてきたのだ。

警察が来て、現場検証が行なわれた。遺体はSであった。かなり腐敗が進んで、ミイラみたいになっていた。部屋のあちこちにSが部屋を脱出しようと試みた痕跡があった。

数日後放送部員がSが最期に掛けていたレコード盤に針を落とした。すると曲の合い間にSの叫び声が入っていた。

 

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