投稿者:たこちゃん
放送室の怪
これは一九八十(昭和五十五)年ごろ、高校の女子生徒から聞いた話で、どこかの雑誌に掲載されたか、人づてかは、今となってはわからない。
ある高校の話である。場所は放送室。時は夏休み前。Sは放送部員の三年生。終業式が終わって、明日から夏休みである。
放送部員は放送室に集まって、おもいおもいに過ごしていた。
Sは最近ある音楽に夢中になっている。何回もレコード盤を掛けて繰り返し聴くのだった。
夢中になって聴いているうち、部員はひとりひとり去っていった。
そしてとうとうひとりきりになった。
学校からも生徒はいなくなったのにSは時間を忘れて曲を聴いていた、Sは灯かりをつけるのも忘れて曲を聴いていた。
宿直の先生が最後の見回りをしていた。そして放送室の鍵が開いたままなのに気がついた。
「ははん、鍵をかけるのを忘れたな」
ドアを少し開けてのぞいたが、暗いので誰もいない。外から鍵を閉めた。
それでもSは気がつかない。Sが時計を見て、ようやく帰ろうとしたら、鍵がかかっている。閉じ込められた……。
二学期の始業式。朝からキャプテンA が放送部の鍵を開けた。
「ぎゃー」と叫んだ。
部屋の向こうから誰かが倒れてきたのだ。
警察が来て、現場検証が行なわれた。遺体はSであった。かなり腐敗が進んで、ミイラみたいになっていた。部屋のあちこちにSが部屋を脱出しようと試みた痕跡があった。
数日後放送部員がSが最期に掛けていたレコード盤に針を落とした。すると曲の合い間にSの叫び声が入っていた。
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