2019年10月15日 更新

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夏の怪談コンテスト応募作品NO40_病院食

ぱどにゃんこ夏のキャンペーン 最恐「実話怪談コンテスト」応募作品を一挙ご紹介!

 

投稿者:きねまこ

病院食

あ、やっぱりやせた?

ふふ、入院ダイエット大成功~。腸閉塞だから食べられなくってさ。
いやー、自分でもびっくりしたけど、入院なんてめったにできるもんじゃないし、会社も堂々と休めたし、結構楽しかったかな。



あ……でもね、ちょっと怖いことがあったんだよ。変な親子がいてさ。

親子って言っても親の方はどう見ても70過ぎてるし、娘の方も40は越えてる感じなんだけどね。
そのお母さんの方がちょっとね。

わたし六人部屋でね。お母さんの方と同室だったの。で、入院してるから病院食が出るんだけど、それを湯のみ茶碗に移して、戸棚にしまっちゃうの。
いや、全部じゃなくて食べ残した分を。

残したら怒られるからそうしてるならまだわかるんだけど……、それ、娘の分のご飯になるの。

娘の方がお見舞いに来て、その残りご飯とかおかずとか食べてるんだよね……それをお母さんが残さないように見てるの。

うん、毎日。

時間帯はまあ……仕事してるっぽいから夕方とかなんだけど、病院食なんて出るの早いでしょ?

夕食はそんなに時間が経ってないにしても朝食のご飯とかガビガビに乾いてるし、空調効いてるっていっても室温だし、衛生面に問題があるだろうって感じだし、それ以前に病院食って病人用に作って色々管理してるもんじゃないの?
って疑問がさあ。



娘の方も母親を諫めるとかすればいいのに、なんか当たり前みたいに食べてるから余計気持ちが悪くって。
まあでも他人に口出すことじゃないし……ってそっとしておいたわけ。

だけどわたしが退院する日に、娘の方と廊下でばったり会って。
その時に挨拶されたわけ。母がお世話になってます、みたいなことを。
それでつい言っちゃったの。


「お母さん、食事の量が多いんなら減らしてもらう相談をした方がいいと思います」 みたいなことを。


そしたら娘、すごく真剣な顔になって。

「そんなことしたら私の食べるものがなくなっちゃう」だって。

それでキッてなってこっち見て「病院に話したりしてないですよね!?」って詰め寄られて。
してないですよ、って答えたら、

「本物の食べ物はお母さんが箸をつけないと生まれない。自分はもう偽物の食べ物を食べられないから頼んで残してもらってる」みたいなことを言い出してさ。

気持ち悪くて話の途中で逃げてきた。


いやいや! 食事制限はあるけど、それは病気だからだし! 解禁されたら色々食べ歩くつもりだし!

食欲があんまりないのは、完治してないせいだから……。

 

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