2019年10月17日 更新

キャンペーン

夏の怪談コンテスト応募作品NO11

ぱどにゃんこ夏のキャンペーン 最恐「実話怪談コンテスト」応募作品を一挙ご紹介!

 

投稿者:GR

宇都宮城址公園は、様々なイベントの会場として、またポケモンゲットの場として、多くの人が訪れる憩いの場となっている。


敷地内にはS館という歴史博物館もある。24年程前に、宇都宮城跡の発掘調査が終了し、発掘品を展示する資料館を建設するはこびになった。


当時の私は内装職人をしており、この現場を担当した。1月の寒い朝、車を降りて現場事務所へ向かう。



「おう、温かい飲み物5本買ってこい。」

親方が小銭を差し出しながら言う。


事務所横の自販機で缶コーヒーを買い、親方と二人で事務所に入る。室内には監督と助監督の二人がいた。挨拶しながら彼らにコーヒーを手渡す。



「あれ、さっきもう一人いただろう。どこ行ったのだい?」

親方が監督にたずねる。コーヒーは5本。なのに、ここには四人だけ…これを皮切りに、その日から不思議な体験をする事になる。



休憩時間に焚火を熾し、火を囲み雑談していた。「火の玉だ!」対面に座っている人が私の背後を指差し叫ぶ。


無人のはずの現場事務所から、じーっとこちらを見ている男性がいる。


さっきまでそこにいた男性に危ないから注意しようと、振り返ると消えている。



現場の作業員は中年男性が多く、仕事中に面白半分で騒ぐような人はいない。それでも毎日のように、現場のあちこちから驚嘆の声が上がる。事故物件は他にも経験したが、こんなにも怪異が多いのはここだけだ。


作業最終日の夕方、機材を車に積んでいた。視界の隅に何かが入り、顔を上げた。暮れ始めた空に、白く光る珠がすごいスピードでこちらへ飛んでくる!見た事もない珠に驚き立ちすくんだ。すると珠は、私の2メートルほど頭上で爆発するように輝き、一瞬で消えた。


今の何だ?火の玉?だとすると、自分のイメージと合致しない。ではプラズマ?それとも雷球か?分からなかった。ただただ不思議な光る珠を見た。腑に落ちないと余計怖い。あれが火の玉だと自分にいいきかせ、現場を後にした。

 

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